参加者 穴井勇、穴井由(投稿)
日程 2022年8月13日~21日
シャモニーへ行ったそのままに、コミチルートを登るべくドロミテに行ってきました!
計画を立て始めたのは5月頃、「8月の休みに、どこか海外のクライミングに行きたいね~」とふんわり話していた。ある日の夕食時、2人でクライミング関連のyoutubeを見ていると、ダニ・アーノルドがコミチルートを登っている動画を発見。ダニがフリーソロで46分という爆速で最速記録を更新したという内容なのですが、その動画がかっこよすぎて、「コミチ行こう!!」と即決でした(笑)。そんな感じでドロミテ行きが決まりました。
1日目(8月13日)
ヴェネチア空港で2人合流、空港からレンタカーで前半のベースとなるカドーレ湖付近の安宿へ移動します。1日目はカドーレの街を散策。イタリアグルメはどれも抜群に美味しかった。
2日目(8月14日)
予報が良いうちに本命ルートへ行くことにします。以下コミチルートの記録です。
Cima Grande Comici Dimai(VII+ 17P)
コースタイム 4:30Auronzo小屋駐車場発 5:40コミチ取り付き 6:10登攀開始 10:30前半(9P)終了 15:30登攀終了 16:30山頂 17:00下降開始 21:30下降終了 22:00駐車場着
ギア クイックドロー(アルヌン含む)20本 スリング数本 カム#0.3~#3 1セット(核心以外残置少なく、V以下は残置ほぼ無し)
カドーレから1時間程でAuronzo小屋へ到着。駐車場で仮眠し取り付きへ向かう。駐車場は南壁側にあるので、アプローチの峠を越えたところで、あのドロミテの写真でよく見る3本の峰が見えてくる。暗闇の中でも分かるその迫力に圧倒されます。
1時間程歩いてコミチルートの取り付きに到着。1P目(III)はフリー、2P目からロープを出します。
2P(IV 30m)由リード
3P(VII- 25m)勇リード
アップもそこそこ核心の1つ目。フェースには甘カチしかなく、寒さで手の感覚が無くなっている私はもうここでテンション。何回かトライするも何も持てず、掴んでくださいと言わんばかりに垂れている捨て縄を使って上がった。北壁とはこんなにも寒いのか、11月に瑞牆のアップでトータルリコールを登った時のような手の痛さに先行きが不安になる。
4P(VI+ 30m)由リード
とにかく手が激痛だったことだけ覚えてる。冬山並のフル装備なのに震えるほど寒い。
5P(VI+ 30m)勇リード
6P(VI 30m)由リード
7P(VII- 40m)勇リード
核心2つ目。VI+とVII-はこんなにも違うんかってくらいきつい。少し直上した後、右へトラバースし更に直上。うす被りでホールドがうすい、甘い。
8P(VII 40m)勇リード
最大の核心。つるべでいくと私ですが、明るい未来が見えないのでリードを相方へ頼みます。普段なら、「やってみなよ!(※強め)」と言う彼ですが、今回はすんなり引き受けてくれました。
ライン取り含め7P目と似ているが、右へトラバースするところが最強に悪かった。スーパーA0で超える。A0しながら、3年前に行った三倉のことを思い出しました。スカイチムニーの3P目(世界最強の5.9)、宮崎さんが人工で越えながら「広島まで来て何してるんだろう。」とぼやいていました。今はまさしく「イタリアまで来て・・!」といった気持ちですが、トップアウト出来れば良しとしましょう。
9P(VI- 35m)由リード
フェースはボルドが無くかなりランナウト。ライン間違えたかな?ここを登り終えると広いテラスに出て前半戦が終わります。
ここまでノンストップで登ってきたのでちょっと休憩。難しい前半パートを終えて、2人とも少しリラックスモード。「あとはV以下だしビクトリーロードだ!コミチありがとう~」なんて呑気なこと言ってたら、最後に痛い目を見ました(笑)。
10P(IV+ 30m)勇リード / 11P(III 40m)由リード / 12P(IV 30m)勇リード
13P(V+ 30m)由リード
上から滴ってくるワイド。2週間晴れが続く等よっぽどじゃないと乾かないらしい。
14P(IV- 35m)勇リード
15P(V 30m)由リード
16P(IV- 35m)勇リード
17P(III 35m)由リード
ここを抜ければ登攀終了。「ビクトリーロードいただきだぜ!」と意気揚々にクライムオン。数m登り次の一手を出した時、掴んでいた15cm大の岩が欠けてフォール。落ちた直後、自分が落ちたことよりも「やばっ落石」と思い、落ちていく岩を見届けながら「らーーーく!!」と叫んでいた。直前に取ったカムで止まり、落ちたことを認識。アルパインで初めて落ちました。カムを取った自分にめっちゃ感謝(笑)。(あ、相方よ止めてくれてありがとう。)ここからはメンタルぶれぶれになりながら登り、分かりやすいテラスへ出ました。
登攀開始から約9時間、ついにトップアウト。チームオンサイトで完登!結構疲れた。バンドをトラバース後、ガレガレの岩稜帯を登り山頂へ。
山頂で大休憩をし、17時に下降を開始。下降はノーマルルートから。
コミチ以外のルートを登ったパーティもここから下降するので、下降路は激混み。懸垂とクライムダウンを繰り返して降ります。待ち時間もあったけど、無くても時間かかったと思う。
最後の懸垂ポイントでは、話していたチェコ人のパーティーがロープを貸してくれました。なんと紳士!最後の懸垂を終えて、登山道へ合流すると4人で大喜び。登攀が終わった時より喜んだ(笑)。るんるんで暗い登山道を下ります。なんと歩きやすいことか!下降は色んな国のクライマーと話せて、楽しかったです。
コミチルート、本当に素晴らしいルート!下山した後の高揚感、幸福感は凄まじかった。ただ、VII級が思ったよりも登れなくて、もっと石灰やらなきゃな~と痛感しました。ドロミテ初日にして良い1日でした。
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