- 期日:2021.10.10
- 山域:北アルプス
- ルート:錫杖岳前衛フェース 錫思杖戯/北沢フェース右ジェードルルート
- 参加者:穴井、久野、鈴木(投稿)
- 天候:晴れ
お腹いっぱいぐっすり眠り、リーダーの号令で規則正しく一日が始まる。
今日も快晴!
昨日の見張り塔ではすっかり臆病風に吹かれ、もう岩登りはいいやー、なんて思っていた私も、元気いっぱいのパートナーのおかげか、あるいは寝不足解消のおかげか、なんだか山が呼んでいる気がする。
北沢デラックスに向かう予定だった久野さんも合流し、三人で白壁左の凹角をめざすのが本日のミッション。さあどんな一日になるのかな。
6:30天場発、7:30登攀開始。
1p目、鈴木、25m。
今日もじゃんけんだけは絶好調。先頭でスタートさせてもらう。
濡れていたらのっけから臆病モードに戻ってしまいそうな凹角だが、パリッパリに乾いていて快適。そして岩が硬いのも嬉しい!
トポのひとつ手前のテラス、打ったばかりかと思われるピカピカのハンガー2枚のビレイ点まで。
2p目、久野、25m。
ところどころワイド登りを交えながら、クラックを辿り左のカンテへ。
フォロー中にロープの流れで2リットルポリタンク大の落石を食らうが、たまたま下を向いていたのと飛距離が短かったのでヘルメットが凹んだだけで済んだ。岩が硬いとはいえ、アルパインの心構えは欠かせない。
3p目、穴井、40m。
穴井さん久野さんは昨年登っている「深夜特急」のラインとここで別れる。
後半は草付にかじりついて地を這うクライミングだが、開放感満点なので気にならない。
4p目、鈴木、45m。
見た目にはホールド豊富そうな凹角。
リードさせてもらうからにはオンサイトだと、気合を入れて取り付くも、核心と思しきフィンガー部分に辿り着いた時には早くも手も足もパンパン。
安定しないレストの体勢で弱音を吐き散らし、そのたび下から飛んでくる「ガンバ!」の声に押されてかろうじて壁に張り付き続け、なかば捨て身で手を出した先がたまたまガバだったのでなんとか突破。
そして最後には埃っぽいハンドクラックから草付へのマントリング。ダメ押しの一撃に、もうお腹いっぱい、喉カラカラ。ほんと時間かけてごめんなさい。。
ここは埃クラックへ行かずに巻けば扇岩テラスに出て寛げたらしい。
5p目、40m、久野。
二日目にしてハイライトのリードが回ってきたと思ったらクラックじゃん、と出鼻をくじかれた、フェイスクライマー久野さん。惜しくもテンションが入ったが危なげなく突破。
ビレイし終えて、僕はもう出し切りました、荷物持ちます、空中ユマーリングします、ハング上でロープがこすれて切れないか心配です、とここでもメンタルの弱さをアピールしていたら、穴井さんがひと言。
「フリーの神様が見てますよ」
そして三人分の荷物を背負い、颯爽と離陸していく穴井さん。
その美しい登りを眺めていると、1年前の記憶が蘇る。
Aフランケ赤蜘蛛ルート、人工に終始した一日の後の、言いようのない不完全燃焼感。
・・・やっぱりフリーで頑張ろう!
心を入れ替え(?)コーナーハングの先の空を目指す。力技のレイバックにどんどん力を吸われるが、進むにつれてフィンガージャムのコツがつかめて、少しずつレストが決まるようになってくる。
それでもこれ以上はもう無理、というところで、コーナーの上にぽんと頭が出た。
おおー!岩登り最高!フリーの神様ありがとう!!
6p目、40m、穴井。
どこでも登れそうだが気の抜けないフェイスを樹林まで。
13:15登攀終了。
ロープをしまってわずかの歩きで前衛壁の頭へ。
下降中の見張り塔組にもコールが届き、茅ヶ崎12名の騒がしい歓声が錫杖沢を埋め尽くす。
黄道光経験者の二人はこのあと黄道光のレッドポイントトライの予定だったが、時間切れでおあずけ。
それでも充実感たっぷりの素晴らしい一本でした。
核心をリードで登れるようになってまた来なければ!
吉武リーダーとみんなのおかげで、とてもとても楽しい二日間でした。
ありがとうございました!!
コメント