2020.3.20-21 甲斐駒ヶ岳・赤石沢奥壁左ルンゼ

山行報告

期日: 2020/3/20-21 天候  晴れ 

参加: 海保(CL,投稿)、穴井

行程 :

3/20(土) 7:15竹宇駒ケ岳神社駐車場-15:00黒戸尾根八合目 岩小屋上幕営-16:00赤石沢奥壁取付き偵察

3/21(日) 4:15幕営地-5:40左ルンゼ取付-16:45赤岩ピーク–幕営地‐宇駒ケ岳神社駐車場

ギア:カム1セット、スクリュー×5、イボイノシシ×3、ハーケン、スリング等

アルバム : https://photos.google.com/u/1/album/AF1QipM-iSRgILByjzghSt2lgqXd8cdRLCm-RZ02phFD

山行の前週の会の飲み会で穴井君とどこか冬壁を登りに行こうという話になり、甲斐駒ヶ岳・赤石沢奥壁 左ルンゼへ行ってきました。

甲斐駒ヶ岳・赤石沢奥壁 左ルンゼ 登攀ルート

【1日目 2020/3/20 小雨のち晴れ】

6:30頃、登山口の竹宇駒ケ岳神社駐車場に到着。小雨が降っていたため、少し待機してから7:15頃出発。長い黒戸尾根を上り、七丈小屋を過ぎたあたりで風が強くなってくる。ここで奥壁へ偵察に向かっていたが強風のため途中で引き返してきたという先行の3人組パーティとすれ違う。風は強かったが我々は計画通り8合目の岩小屋近くの幕営地を目指す。幕営地が分からず一度通り過ぎてしまったが、8合目の鳥居跡を過ぎて初めの岩稜帯手前を左に20mほど降りたところに幕営地を見つけた。1~2張りはできそうなスペースがあった。

黒戸尾根八合目 岩小屋上の幕営地

強風の中薄着だったため体が冷え切っており、早々にテントに潜りこみたいところだったが、風が収まってきたので気持ちを奮い立ててルートの偵察へ向かった。

幕営地からほぼ水平移動で小尾根を越えたところで奥壁全景が見えた。

迫力あるも綺麗な登攀ラインに笑みがこぼれる。

取付きの第一バンドの雪壁をトラバース

取付きの第一バンドへ向かって行くと壁の威圧感が増してきて、次の日の登攀を考えるとワクワク感と緊張感が交互に押し寄せて来た。取付きを確認してテントへ戻る。

【2日目 2020/3/21快晴 無風】

2:00起床、4:15頃に幕営地を出発。前日偵察したお陰で少し気持ちが軽い。やはり偵察は大事だなと改めて感じた。 

準備して出発

取付きの第一バンドまでの雪壁をトラバース

5分遅れ程で先日すれ違った3人組の後続パーティが来る。左ルンゼの取付きで言葉を交わす。この日は中央稜を登攀するとのことであった。

・1ピッチ目 リード海保/穴井

取付きが分かり難く、腐りかけのスリングが垂れているリングボルトが一つあり、その上にはハーケンが見当たらないので怪しいなぁ。と思いつつも上の小テラスまで草付きが点々と続いていたため、ここから取付くこことする。

昨夜じゃんけんで勝った海保がリードで5:40頃登攀開始。やはり登っても残置やハーケンが打てるリスは無く、貧弱な草付きを頼りにイボイノシシを打つ。草付きが途切れたところで、左岩壁上に薄いベルクラが張り付いているスラブに移ろうとしたところフォールしてしまった。イボイノシシで止まったが抜ける寸前だった。イボイノシシを打ち直し(もう一つ追加で固め取りしたいところだったが残り1個だったため諦めた。)再度、左のスラブに乗り移る。スタンスがほとんど無く小さな窪みで足を乗せ換えながらじわじわと薄氷ベルクラのスラブを登る。砂交じりの薄氷にバイルを引っかけて小テラスまで体を上げようとした瞬間、足が抜けて再度フォール。今度はイボイノシシでは止まらず、7m程落ちてグランドフォールし雪面を1m程滑り取付き点のリングボルトで止まった。落ちたところが傾斜のある雪面だったお陰で背中と左肩に痛みがあるものの幸い骨折等の怪我は無かった。

落ちた際に穴井君の足にも激突したようで穴井君も足を痛めた。申し訳ない。プアプロテクションで進んだことに猛省する。

敗退か、または中央稜への転進か、頭に浮かんだが、取付いたところから少し右側の凹角に登れそうなラインがあり、よくよく見ると残置ハーケンがあったためこのラインから登ることとした。(後で確認したところこっちのラインが正規ルートのよう。海保が登ったラインはベルクラが発達したときのラインか?)

 1ピッチ目 リード海保 草付きを登る

7:00頃、ラインを変えて穴井リードで再度登攀開始。

こちらのラインは残置ハーケンでプロテクションがとれるので精神的にはましだが、こっちはこっちでスラブからの小ハング超えや垂直セクションがあって難しい。

穴井君が叫びながらハングを超え、中間の垂直セクションの草付きが抜けて一度フォールしたが、その後はノーテンションで登って行った。フォローでも難しく、このピッチが核心だった。

1ピッチ目 リード穴井

・2ピッチ目 リード海保

出だしのトラバースが悪く、1ピッチ目のフォールが頭に浮かんで足がすくむ。

2ピッチ目のトラバース

第2バンドとF2氷柱

・3ピッチ目 リード穴井

ルート図では氷柱の裏側がルートになっているが雪で埋まっていた。氷柱が下まで繋がっていたため氷柱の右側を直上。ビレイ点から見えないが氷柱の向こう側からリードの穴井君の雄叫びが聞こえる。後で聞いたところ、振ったバイルでギリギリ止まったが、足ブラ状態になっていたとのこと。

このピッチも垂直アイスと右壁のミックス登りでフォローでも難しい。更に抜け口は雪氷がぐさぐさでバイルに体重を掛けるとズルっとずれるので、その度に肝を冷やす。リードでよくノーテンションで登ったなと感心する。

3ピッチ目 氷柱 リード穴井

3ピッチ目 フォローで登る海保

・4ピッチ目 リード海保

F2チムニーを直上。

4ピッチ目フォローで登る穴井

・5ピッチ目 リード穴井

凹角につまった氷を辿る。最後はブッシュ交じりの垂直雪壁。

正規ルートはF3ルンゼ左のクラックらしいが分からず、この日のコンディションではこのラインが素直に感じた。

5ピッチ目 リード穴井 凹角につまった氷を辿る

・6ピッチ目 リード海保

雪壁をサクサク登れる。気持ちがいいピッチ。雪壁を登りきると赤岩のピークが見える。

6ピッチ目 雪壁

6ピッチ目終了点 明るいうちに抜けられそうで、ようやく余裕が出てくる。

左側の雪壁を登りすぎたため振り子トラバースで 2.7バンド上まで下りた。

・7ピッチ目 リード穴井/海保

綺麗な花崗岩に囲まれるルンゼを登る。

7ピッチ目 F4ルンゼ氷壁。

傾斜のない雪面登り。

壮大で綺麗な花崗岩の景色に囲まれ目を奪われながら登る。

・8ピッチ目 リード海保

F5のベルクラを登ってバンドに出る。

8ピッチ目 リード海保 F5ベルクラ

・9ピッチ目~赤岩のピーク

9ピッチ目の最後のバンドから中央稜に合流して赤岩のピークに抜ける。

このピッチは意外と距離があった。16:45頃赤岩のピークに出る。

赤岩ピーク抜け口

赤岩ピーク。無事に明るいうちに完登できて嬉しい。

甲斐駒をバックに。

今回は迫力のある冬壁を登れ、とても充実した記憶に残る登攀になった。

また1ピッチ目ではフォールもあり反省点の多い山行にもなった。

 共に登ってくれた穴井君に感謝。

以上

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