期日:2020年8月8日~14日 山域:北アルプス(穂高連峰)、北鎌尾根、前穂北尾根、 参加者:長野凸、吉武凹(投稿) 天候:雨雨雨雨雨時々晴れ
■8日 上高地(小梨平キャンプサイト)
どんよりした空の湘南を午前10時半にゆっくり出発。道中は今回の工程の予習と、装備について相談しながらカモシカ松本店に寄る。なるべく軽量化できるようにダブルロープ*2本でいくか、シングル*1本にするか悩む。槍西稜と前穂北尾根での懸垂等々を考慮して、結果シングル*1本で行くことにした。凸がカモシカでシングルロープを購入し、おニューギアにテンションがあがる🤩後々この判断から、ダブルロープが減ったおかげで余力をもって最後まで歩きぬくことができた。(いや、ほんとに、、、)お昼に山賊焼き+そばで気合を入れて、デリシアで買い出し後、この日の最終バス17:24に乗車し、上高地へ。
ついに九州で暮らしていた頃から憧れていた上高地!空がどんよりでも素敵っっ!山行そっちのけで川遊びしたい気分を抑え、周りのオサレなキャンパー達の間に割ってテントを張り、これから始まる冒険に備える。
■9日 小梨平[6:20]-槍沢ロッジ[11:20] -大曲[12:30]-水俣乗越[13:50]-北鎌沢[16:00]
天気は相変わらずぱっとしないし、そのうち土砂降りになってきてやるせないけれど、大曲までは軽快な足取り、山トークに盛り上がって快調な出だし。今後のひもじい食料を思い、槍沢ロッジで中華丼を注文。(びっくり仰天ちっっっさい(*_*))
水俣乗越までも思いのほか順調で、乗越過ぎると明くる日の獲物、北鎌尾根を見ることができ、一気に気分があがる。
一旦尾根の裾まで下りると、雪渓が出てくるがアイゼンが必要なほどでもない。ごろごろとした沢を下り、北鎌沢に到着。他2パーティー。コルまでこの日のうちに上がるか少し考えたが、いや、飲みましょう。水を浴びて、今回一の晩餐牛丼!夜には星空が広がり、翌日の天候に期待する。
■10日 北鎌沢[5:20]-北鎌のコル「7:15]-9峰[8:45]-独標[11:45]-北鎌平[15:00]-槍ヶ岳頂上[16:45]-殺生ヒュッテ[18:00]
予習もちゃんとできたし、わくわくしながら北鎌沢を出発。北鎌のコルまで楽勝と思っていたけど、水が枯れてきたところから物凄く長く感じた。
ここから9峰-10峰(独標)-11峰-12峰-13峰-14峰-15峰-北鎌平-槍ヶ岳と進んでいく。ひとつピークを迎えるごとに、やったここが〇峰だ!と思っていたが、違う。峰って何ですか!9峰に行くまでに3ピークは越えていった気分だった。
独標は天上沢側を少し下りトラバースしていくイメージで、踏み後っぽいのを辿っていく。
すると変なところに行ってしまい、それ以上進めなくなる。ヤンパが少し上の方をトラバースしているのが見えてあっちか!となる。
ヤンパに追いつき追い越し先を急ぐとまた変なとこに出てしまう!ロープだしてなんとか乗り切ろうとするけど、戻った方が賢明ということで来た道を戻り、彼らを追う形で独標を目指す。ここで時間と思考体力をだいぶ食ってしまった。。。ちょっと焦るというかへこむ、凸凹。
ガスが抜ける合間があって、次の峰まで見える。槍が見えると恐怖を感じるかっこよさ。
長かった独標を超え、連続する11-14峰をほぼ稜線沿いに行く。最短最易のところを行けるように凸凹で丁寧に相談しつつ進んでいき、でかでかとした15峰をトラバースしていく。11-14峰に比べて貫禄があり、槍手前の北鎌平までの最後の砦だったよう。ここで残りの体力を持っていかれる。
いよいよ槍ヶ岳。ひょひょいと登っていき噂のチムニーを探す。槍の祠の裏側にでるので直上していくイメージだ。これチムニー?こんなおっきい?え、これチムニー?こんなちっさい?みたいなのが沢山あって、た・ぶ・ん噂のチムニーを見つけてそこを行かず、やや左手にトラバースして山頂に出れそうなところがあったのでそこを登ることにした。ただ岩面は濡れていて若干かぶっている様子だったので念のためロープを出すことに。凹がフォローで登ると、なにこれ難しいっ確保無しは厳しいじゃんっ、となかなか難しいルートを進んでしまい、さらには祠の正面にでる始末!みんなが行ってるルートはどこだったのか。。。後から来たヤンパはちゃんと祠の裏を登っていた様子。
目まぐるしく変わる天気のなかで、ぱちり。
寒いし、翌日も西稜から戻ってくる予定だったので早々に頂上退散。槍ヶ岳山荘テン場は午後1:30には一杯になったそうで、くったくたな中殺生ヒュッテテン場まで。ザックの中で粉砕したワンタンに春雨をいれたどろどろスープと乾杯。就寝前はどの星が星座を織りなすか分からないくらいの星空が広がっていた。明日晴れるかな。
■11日 殺生ヒュッテ、槍ヶ岳山荘テント場、 小槍取り付き偵察
4:00起床。ガスを照らす朝日にお天気を期待する。
が、予報通りの雨模様。
やる気ゼロの凹を凸が無理やり支度させ、7時に殺生を後にする。槍ヶ岳山荘テント場受付一番乗りで場所は選びたい放題!槍が正面に望める特等席のエリアAかBで迷う。待って、ガスで槍のやの字も見えやしないわ!!!広めのBを選んでテントを張る。強風だし、雨も強まりそうな勢いなのでしっかりと張る。張ったところで雨が強くなり、しばらく待機。今日は1日飲んだくれのんびりしててもいいんじゃないですか~?と表情にはしっかり出ていたであろう凹を横目に、凸は雨が止んだら取り付き偵察に行くぞ、と仮眠。前日に西稜を目指していた由美子リーダーが悪天候のため登れなかったのをいいことに自分が先に登ってやろうという必死さがいびきから窺えた。
一方凹は、翌々日の前穂北尾根で凸を先導できるように入念に情報チェック。そのうち雨が弱くなり、そのすきに身支度を整え、小屋で昼食をいただいて、取りつきへと出発。
槍頂上へ向かう梯子の手前を左の方に進むと聞いていて、どの梯子や!と思いつつ歩くと、すんなり踏み後を見つけた。ざれたところを下ろうとするとがっつり新品なスリングで懸垂点があったので懸垂下降で25mいっぱい下りる。スリングの先のカラビナには`鈴木’とあった。
ひ孫に沿って歩いていくとリングがあって取り付きに到着。小槍も何も、なーんにも見えない。さっさと登攀具を拵えて、いざ、小槍の上でアルペン踊りっ!びちょびちょの歩いて登れると聞いてたルンゼ?は、確保なしでフリクションを効かせるには頼りなく、凸を確保してコルまで。追って凹もコルに辿りついたころには叩きつける雨!風!やる気が無くなったというより、どうあがいても登れそうになかったので、ひとまず小槍の下でアルペン踊り♪したらそそくさと懸垂下降して、テント場まで帰りましたとさっ。槍ヶ岳山荘の食堂に戻り、昼間のビールを楽しみながら`アルパイン’とは何かについて語る凸凹。アルコールと高度のせいか、熱くなる凸。ムカついて来たのでテントに戻ってささっと食事を済ませ、就寝。翌朝は大キレットだぁあ!
12日 槍ヶ岳山荘[6:30]-中岳[7:10]-南岳[8:00]-長谷川ピーク[9:30]-北穂岳小屋+ながい休憩[12:10]-涸沢岳[13:50]-穂高岳山荘[14:10]
(余談ですが)槍ヶ岳は、凹の父母が若かりし頃寝台列車を乗り継いで、当時の一大登山ブームにのっかってダブルデートで登ったことがあると最近聞いたのでなんだかこそばゆい。小屋では32年前に売っていたバンダナを今もデザイン変わらず販売していた。
雨粒の音で起きる。やる気が出そうにもない。既にすっからかんになったテン場を後に、ガスの中を進む。どこ歩いてるのか。。。
景色が見えてたら見えてたで、そっちに気をとられて安全に進めてなかったかも、と必死にポジティブシンキング。にしてもキレットはいずこ?すれ違う人も数えるほどで、こんな日に歩いているのはよっぽどの山好きか、クレイジーか、変態かいずれかだろう。凸は綺麗なお姉さん2人組とすれ違った時だけ話しかけていた。この変態が!
視界がないせいか、キレットがいまいちどこか分からないし、いま北アルプスを歩いているかも分からないし、、、ただ手足使って集中して登るのは雨でも楽しかった。そんな凹へのご褒美に夢にまでみてた雷鳥とご対面!モンベル大分店でバイトしていたとき店内放送で嫌ほど聞いた雷鳥がこいつかぁ~!まるまるとしておいしそうで何とも言えない可愛さでした。
北穂髙小屋の中でおいし~い昼食をとり、ながい休憩後、穂高岳山荘を目指す。あっという間についた気がする。2泊することになるのでなるべく快適な場所を探して、テントを張る。小屋のお天気情報では翌日午前中に天気が回復する間もあるかもとのことだったので、やる気MAXで乾杯。北鎌尾根で四苦八苦したのを繰り返さないように入念に打ち合わせ。翌日を楽しみに就寝。
13日 穂高岳山荘[5:30]-涸沢カール[6:10]-5・4のコル[7:10]-4・3のコル[11:00]-2峰懸垂点[12:00]-本峰/前穂高岳[12:30]-奥穂高岳[14:30]-奥穂高岳山荘[15:00]
遠い九州出身の凹にとってはそもそも涸沢カールなんてのもすごく憧れていた場所である。こんな形で訪れることになるとは思ってもみなかった。(アルパインのアの字もまだ分かっちゃいないけど)明け方ガスまみれだったのでヘッデン使わなくていいくらいの明るさになるまで待ち、ザイテングラートを降りる。途中でガスがとれて、涸沢ヒュッテをお目にかかり、今日の天気に期待する。5・6のコルは確認できるけど、4峰以降は雲の中。3峰に通過ごろには晴れてるといいな、なんて思っていた。
凹はこの写真を最後に本峰までカメラをしまう。雨だ。ここからは凸のいかしたGopro頼り。コルまですっ飛ばして歩くと、「おっせおっせおっせ」と掛け声が聞こえて中腹に見えていた茨城ズがちょうど5峰を登り始めたところだった。
北鎌尾根はめちゃくちゃ時間がかかってしまったので、これから始まる前穂北尾根に緊張する凸凹。雨風ともに強い。足早に5峰を越え、茨城ズを追い越す。できるなら先に3峰の取り付きには着きたい。4峰は、稜線⇒奥又白側にトラバース⇒稜線のイメージ。トラバース、トラバー、トラ、、、、まだ行くの?北鎌のトラバースザレザレ悪夢が思い出され、そろそろ稜線に戻りたい気分です、とルートを探すけど良く分からない。ルーファイに苦戦する凸凹。そのすきに茨城ズはトラバーーーーースしてって、4峰ピークへ。なんか越えれそうな場所があったのでロープを出して、凸がリードしてくれた。リーチ凸だから行けたんだろうな~。いつの間にか4峰ピークに出た。思わぬところで時間がかかってしまった。にしても雨。
すでに3・4のコルについていた茨城ズは先に取り付きへ。悪天候でも「おっせおっせおっせ」と掛け声が楽しそう。寒さに震える中凸凹も準備をする。「よし、行くぞ」と凸。「はい!!!」返事だけは良い凹。
1P目:凸リード 20m
トポで取り付きとなっているところまで。
2P目:凹リード 20m
茨城ズが1P目を切っていた同じ所でピッチを切る。
3P目:凸リード 45m
右上してチムニー後ピッチをきる。ここらで落雷か、はたまた落石か物凄い音を聞いて、怖い凍える空腹の3K。
4P目:凹リード
怖さで混乱していててっきり凹がチムニーだと思っていたけど、実際登っていたのは凹角クラックだった。ガーン。
5P目:凸リード
右にトラバースしていって3峰ピークへ。そして2峰、本峰へ向かう懸垂下降点に。
寒さもピークだが、何より天気で先が、本峰が望めないことが焦りを誘う。懸垂下降後、茨城ズの頂上についたような会話が聞こえ、凸凹もようやく前穂北尾根を終えた。頂上には茨城ズ凸凹以外誰もおらず、それがかえって特別な場所に着いた気分にさせてくれて、感無量でした。ガスも少し取れていた。
寒い!ので早々小屋を目指す。吊尾根?そうかそうか、吊尾根か、いや楽しめない!早く体を温めたい!奥穂高岳山荘に着くころには視界もよくなり、小屋に泊まっている人たちが奥穂高岳に向かっていた。天気が悪くても嫌だけど、帰って来た時に良くなるのはもっと嫌だ!!!着替えて小屋で祝杯をあげる。ごま油の匂い、贅沢で美味しそうな料理を拵えるキャンパーたちは、凸凹がラーメンのカヤクを半分つかって春雨を食べているなんて知る由もない。翌朝はこの残りのカヤク半分で薄味ラーメンを食べることとなる。(あっちむいてほいで負けた凹が)
14日 奥穂高岳山荘[6:50]-奥穂高岳[7:45]-ジャンダルム[8:25]-間ノ岳[10:10]-西穂高岳[11:50]-西穂山荘[13:50]-田代橋[16:30]-上高地バスターミナル[17:00]
最終日。やっとのやっとでお天気に恵まれ、帰りたくなくなる。朝ものんびり過ごしてしまい、前日までいただけなかった太陽光をめいっぱい浴びる。軽くなった荷物で快適に歩ける。歩いたり、岩を掴んだり、そして景色を楽しむのに忙しい。槍から奥穂高、ジャンダルム、360℃視界を遮るものがない。
西穂高岳から一気に人が増え、下界の匂いに下山が嫌になってきた。西穂高岳山荘に着いて、有名だと聞いていたラーメンを注文。だた小屋はすごく忙しいそうで、めちゃくちゃ待った。のに、それを盛大にこぼす凸。帰りのバスに間に合うか微妙な時間になってしまい、バス停まで急ぐ。
西穂山荘まで余裕だったのにそこから遠いよ上高地、、、心が折れそうになる。そんな時に見かけた癒しのウスタケ。
つまんないので歌いながら下る。下る。くだる。くだる。くだる。くだる。沢の音が聞こえてやっと田代橋!河童橋に向かうまでの道にクマが現れたみたいで、迂回を勧められた。上高地着くと、ねぇねぇわたし北鎌尾根いったんだよ!ジャンったんだよ!6日間もいたんだよ!天気ずっと悪かったんだよ!って周りの観光客のみなさんに自慢気な顔してたと思う。最終バスに間に合い、6日間貯めに貯めた匂いとともに車内へ。降りたら不思議となんか物足りない気がしてこのままもう一山行きたい気分に、なったりしてない!今日はとにかく温泉へ!最高でした。
何回も言いますが、憧れていた穂高連峰!申し分のないデビューができたと思います。(天気をのぞき(;_;))よき師匠/先輩/ライバルの凸さん、ありがとうございました!凸さんから落石計2回食らったので次回以降気を付けてください! 凹
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