2022.09.30-10.1 北岳バットレス

山行報告
  • 期日:2022/9/30-10/1
  • 山域/ルート:北岳バットレス第四尾根主稜
  • 参加者:ボーイ
  • 天候:晴れ
  • 行程:
  • 9/30㈮ 1030芦安駐車場-1100バス乗車-1200広河原1220-1400白根御池小屋-1520取付き偵察-1704白根御池小屋
  • 10/1㈯ 0300起床-0400発-0525Bガリー大滝-0555登攀開始-0650第四尾根主稜取付き-0800マッチ箱のコル-0905終了点-0933北岳山頂1002-1123白根御池小屋1203-1309広河原
  • 使用した道具:キャメロットC0.5~3、クイックドロー×4、アルパインヌンチャク×4、スリング120×4、環付きビナ×8ほど、グリグリプラス、マイクロトラクション、タイブロック、8.2mm/50mダブルロープ×1

初日は昼過ぎに広河原を発ち、白根御池までのんびりアプローチ。

のつもりが意外と急登が辛かった。広河原から1時間半ほどで幕営地に到着。

絵本に出てきそうな小綺麗な白根御池の畔りにテントを張り、しばしの休息の後、取り付きまでの偵察に向かった。

下部岩壁への分岐となる明確な踏み跡を確認

下界は快晴。しかし山頂付近は雲に包まれ、バットレスの全景は望めなかった。

日没とともに食事を済ませ、床に就くまでの間は”狼は帰らず”を読んで時間を潰す。たまにはこういうひと時も悪くない。

無為徒労の虚の世界に身を投じるほど、実の世界が疎かになる……

夜の冷え込みは強く、外気温は2~3℃ほどでテントに霜が張り付いていた。一方、昼過ぎには強烈な日差しで体感30℃くらい。寒暖差が辛かった。

明朝3時、準備を進めるが、続々とヘッドライトの灯りとともに足音が通り過ぎ、懸念していたバットレスの渋滞が予想される。

満天の星の一方、月明かりは無く足元は暗い。闇に包まれる大樺沢を歩く。

“人生において必要なのは、実際の強さより強いと感じる心だ”――

下部岩壁に辿り着く頃には、群青の空が次第に明るくなっていった。朝日が差し込み岩壁が橙色に輝き出した頃、登攀開始。

“さくっと登ってきます”〜

Bガリー大滝。けっこう高度感あって怖かった

Bガリー大滝は岩は固く、アプローチシューズでも軽快に登れた。

しかし、チャート特有のフリクションの乏しさ、そして朝イチだということもあり、最も緊張を強いられたところだった。

“高いところから落ちる人間は惨めだ。しかし、高いところまで登れない人間はもっと惨めだ”

Cガリー

大滝の登攀が終わると、明確な踏み跡とフィックスロープがCガリーへと導いてくれる。

Cガリーを横断。この時期のCガリーは危険というほどではないと感じたが、やはり崩れやすく注意が必要。

ヒドゥンスラブ。逆層で悪そうな見た目だがホールドは豊富だ。
4尾根主稜取り付き

クラック、フェイス、リッジと変化に富んだ楽しい内容。フリーで快適に進む。

5ピッチ目。出だしのスラブが嫌らしい。

ここはロープを使用してみた。

マッチ箱の終了点までロープを伸ばし、フィックス→下降→登り返しつつギアを回収

マッチ箱は崩壊も時間の問題だと感じた。懸垂支点にするのは少々心許ない。

下降後は、快適なフェイス→左のルンゼ、枯れ木のテラス跡地を経て、城砦チムニー基部まで爽快に進む。この辺りはルート全体の白眉と言えるだろうか。景色も良く内容も素晴らしい。

最終ピッチの城砦チムニー。

ここで再びロープを使用。重荷を背負ってのチムニーは厳しかったがフリーで突破できたので良かった。

終了点より踏み跡をたどり20分ほどで山頂に至る。登山道は大勢の登山客で溢れかえっていた。4尾根も6〜7パーティー取り付いていたようだ。

登攀前には多少なりとも葛藤はあったが、振り返ってみればあっという間でとても楽しい時間だった。

最近は仲間と山に行くのが当たり前になった。それは自分にとってはとても幸運なことだけど、久しぶりにゆっくり自然の中でいろいろ考える時間が作れて、自分が本当に山登りが好きなのか確認する良い機会になった。

“重要なのは、自分の今やっていることが一生をかけるに値することであるかどうかではなく、自分が今、自己の全てをかけて行動しているかどうかにある”――

“登りに行け。ただ登りに行け。見向きもされず、自分自身も何も考えず、ただ登るのが理想”

記: HB

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