2020/12/26〜29 北ア・燕岳〜蝶ヶ岳

山行報告
  • 期日:2020-12-26~29
  • 山域:北アルプス
  • ルート:常念山脈縦走
  • 参加者:加藤
  • 天候:晴れ/曇り/吹雪
  • 行程:宮城ゲート〜燕岳〜大天井岳〜常念岳〜蝶ヶ岳〜上高地ゲート

10年以上前にも同時期にこのコースを単独で挑んだが、大天井岳で吹雪に遭い引き返した事がある。今回はリターンマッチではあるものの、年齢を重ねたことがどう出るのか、期待と不安の混じる計画でした。

前夜に車で宮城ゲートまで来たものの近くなるほどに積雪が増えていた。それほどの降雪量ではないものの、へたれているスタッドレスタイヤでは少々不安がある。ゲート近くの駐車場では4日後に戻った際、脱出に手間取る可能性があるので穂高駅に停めてタクシーでゲートへ行くことにする。
早朝、南安タクシーさんを呼んでゲートまで。運転手さんと話しで盛り上がって、先の長い今日を良いテンションでスタートする。
12キロの林道の始まりは軽く積もった程度で、轍もあって歩きやすい。踏み跡を見ると8人くらいは先行しているようだ。天気予報ではこの後は晴れるということだったが、ちょっとだけ日が射しただけで、上部はずっと曇よりとしていた。

中房温泉に昼前には着いたが小雪が降り始める。ここまで小屋泊まりの単独者に抜かれただけで、人影はなく静かなものである。
一息入れて、合戦小屋を目指して歩き出す。高度を上げるに連れて積雪も徐々に増えてゆく。順調に進んでいたが第2ベンチ過ぎてから思ったようにペースが上がらず、ちょっと焦る。

陽が落ちる前には着いたが、ガスを纏った山中では暗くなるのが早い。さっさとテントを設営する。疲れた身体でスコップを使っていたら腰がイッちゃいそうになり、慌てて無理のない姿勢を心掛ける。
先行していた踏み跡は8人くらいの学生パーティのようだ。小屋脇に2張り。少し距離があったので全く気にはならなかった。
時折、強風でテントが煽られるが心配するほどではなく、食事をしてすぐに就寝。

27日

夜明け前くらいに出発しようとして準備したが、日の出と同時にスタート。大パーティはピストンらしくテントをそのままにして身軽に抜いて行った。
尾根に出ると餓鬼岳がカッコイイ姿を見せてくれた。

燕からの縦走路はガスに包まれていたが、風が強いようで見え隠れを繰り返していた。
麓は雲海、富士山まで見えている。

燕山荘に着くと風も強くなり、この時期らしい状況だ。燕山荘は以前ならかなりの人数が泊まっていたと思うが、今日はそれほどでもなさそうだ。小屋前に十数人ほどいた。昨日ほとんど人に会っていないから、一昨日入山・中房温泉泊まりというコースなのだろう。
燕岳へ登りに行こうかと思ったが、ガスが掛かっているし、前回来た時には登頂しているので割愛。
姿が見えた瞬間に写真だけ。

大天井岳へ向けて歩みを進めるが、トレースがないのでまともに登山道を辿ると激ラッセルである。
適当に歩きやすそうなところを拾って進むが、ペースは上げられない。

しばらくすると蛙岩である。以前は苦労した記憶がなかったが、今回は苦労してしまった。持っていたストックを飛ばしてしまい、回収にも手間取って予想外に時間がかかり、時間的な焦りが出てきた。しかしペースはやはり上げられない。

大天井岳の取付きで陽はかなり傾いていたが、この先は迷うようなルートではなく、ひたすら直登である。足元はガレ場で登り難く、逸る気持ちを抑えながら一歩を確実に登ってゆく。すると登山道のような歩きやすい道筋が。トラバース道かと思ったが、結局山頂まで続いていた。なんだ、こんなルートが出来ていたんだ。前は無かったのに。おかげで後半は楽ができた。
大天荘の冬季小屋を使わせてもらうが、扉を支える両脇の金属部分がだいぶ老朽化していて外れやすくなっているので、開閉の際は慎重にしないといけない。
外は強風だが、小屋の中は落ち着く。煮炊きしても暖まらないのが少し辛いけど。今日の利用者は自分一人。前回は12/31に泊まったが、その時と同様だ。夏なら大人気コースなのに、冬は縦走者ってあまりいないのかな。
食事をしてさっさと就寝。

28日
朝、外を見るとヤマテンの予報通りに吹雪である。風もかなり強い。この後に晴れて風も半分くらいになるという予報をアテにして、視界が少し良くなった頃合いで出発。前回来たときと同じような天候だが、先行きが良さそうなのが違うところ。結果的には昼前には視界が確保できたが、風はまったく収まらなかった。

大天井岳付近はルート上で最も標高の高いエリアなので、先へ進んだ方が天候の回復が期待できる。そのぶん風は強いがルートも分かりやすい、と思ったが広い平坦地でルートがちょっと入り組んだだけで、視界が悪いこともあり意外と厄介なところもあった。GPSで確認すると合ってはいるのだが、確信を持てるほど先が見えないのだ。それでも進んでいくうちに視界が開けてきた。振り返ると大天井岳辺りはまだガスの中であった。
昼前には常念小屋へ到着。手前の樹林帯は激ラッセルだった。冬季小屋は思ってたよりも快適そうなので泊まりたい気持ちはあったが、時間も早いし明後日の大雪予報が気になるので先へ進む。

常念岳山頂までは登るにつれ風が強まり、上部では風待ちの時間が長くなっていった。
途中の三股分岐で下山してくる男性が一人、縦走路中では唯一会った人である。会話のない挨拶だけで、すぐに三股へ下山して行った。
強風に耐えながら登頂するが、写真を撮ってすぐに下る。半端な雪の積り方が石を隠してとても歩きづらい。

相変わらずペースは上げらけないので、蝶ヶ岳までは到底届かないため2500m付近の樹林帯でテントを張ることにする。その樹林帯に入ると積雪は途端に深くなるが、トレースが出現した。さっきまでの暴風も嘘のように鎮まる。正直、助かる。平坦地を見つけて幕営。テントの中で腕を伸ばせば辛うじて携帯電話の電波も通じたので、明日の下山は無理そうなことを下界に伝える。予備日は2日あるので、それなりに折り込み済みだが、明日のラッセル程度次第だろう。
食事をして就寝。昨日からあまり食欲がないので、ゆっくりと詰め込む。あまり身体が暖まらず、熟睡はできなかった。

29日
夜明けと共に出発。少し進むと八ヶ岳から日の出、富士山まで見えている。

モルゲンロートに染まる槍穂を見たかったが、西は樹でほとんど隠れている。代わりに常念岳がよく見えている。

蝶槍手前のピークに着くと視界が開けた。
どうしても槍穂が見たくて西へ回り込んで覗いてみる。

素晴らしい〜。この眺望を堪能したいところだが、先を急ぐ。
鞍部まで下り、蝶槍へ登り返す。トレースのお陰で順調に進むが、樹林を抜けると一気に風が強まる。昨日よりも激しい風圧だ。押し倒れそうになりながら蝶槍に到着。さっき以上の槍穂の絶景が広がり、顔が綻ぶ。

来し方を振り返ると歩いてきた山が見渡せた。

せっかくの絶景だが堪能するには風が強すぎ、今日中に下山するなら余裕はあまりないので、そそくさと立ち去る。身体を傾けながら風とバランスを取って横尾分岐。なんだか笑えるくらいの風圧なので動画を撮ってみました。

https://chigasaki-alpine.club/wp-content/uploads/2021/01/LINE_MOVIE_1609842867769.mp4

明日はこれ以上の風に大雪の予報なので、可能な限り下山しなければならない。
蝶ヶ岳山頂は未練なくパスして横尾へと向かう。なんとなく見当をつけて樹林へ入ってゆくとトレースが出てきた。お陰で順調に高度を下げる。途中で横尾からのピストンが3人登ってきた。
横尾には昼前に着いたので、これで今日中に上高地を出られる目安がついた。
横尾では単独の男性がテントを張っていて、話しをしていたら明日は涸沢で泊まるという。エラく無茶なことを。さすがに止めました。明日の荒れる天候も知らないし。いろんな人がいるものだと思いました。
横尾から河童橋までは無雪期でも長く感じるので好きではないが、雪が着いていてもやっぱり長いのに変わりない。しかし静かなのはイイ。徳沢を過ぎるとサルの群れに遭遇。トレース上でくつろいでいるので、怒らせないようにアピール。嫌々どいてくれました。
小梨平辺りでは10張程度のテントがある。例年よりは少ないようだ。
河童橋から先を歩くのは初めてだが、道が除雪していて歩きやすい反面、ツルツルしている所もあってコケそうになる。アップダウンが意外とある。冬の工事はお休み期間に入っていたので、通過車は警備隊の1台のみで気を使わずに済んだ。
途中から日帰りの地元の方と一緒に歩き、いろいろな話しを聞けて楽しいが、ペースがけっこう速いので頑張って進む。お陰で予定より30分ほど早い、16時半にゲートに着いた。ゲートでは警備隊の方々が陣を張っていました。お疲れさまです。
翌日は予報通りの大荒れだった模様。頑張って下山した甲斐はありました。

今回の山行は個人的には得るものがイロイロあったので、それなりに満足できるものではありました。
思っていたよりも手強いところもあり、厳冬期の縦走を堪能できましたが、お腹いっぱいにはなりました。

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