- 期日:2021.7.22-25
- 山域:北アルプス
- ルート:赤沢山正面壁(クラックルート~ダイレクトルート上部)
- 参加者:鈴木(投稿)、長野
一昨年、昨年の夏に引き続いて、ちょっとマイナー系岩登りに行ってきました。
登れたのは一本だけでしたが、先がどうなっているのかわからない壁を、登りたいように登るという、人気ルートでは味わうことのできない楽しみにどっぷり浸ることができました。
>初日
仕事が終わるのを待ってもらって出発。まあ残業すればババ平まで入れるかな、くらいに考えていたが、渋滞にはまって沢渡まで10時間!
>二日目
槍見河原を過ぎると、目指す赤沢山が見えてくる。
「この夏はどこ行くの?」
「北アルプスの槍沢に赤沢山というのがありまして、えーと槍沢の天場のすぐ裏なんですけど、そこにいちおう標高差400mくらいの壁があって、たぶん皆知らないと思うんですけど、、」
「・・・???」
この会話を何度したことだろう。
それも納得の地味な見た目。
夕立ち予報なのでババ平まで上がり、テントを張ってからいざ出発!
登山大系の記述に従って右俣出合の滝を巻きにかかると、残置ハーケンが出てきた。
この岩場の開拓は1960年代。そして1990年のクライミングジャーナル誌には、すでに「忘れられた大岩壁」特集に取り上げられている。
よほどマイナーな壁かと思っていたが、案外人臭い。
右俣を離れてスタカット1ピッチ、あとはロープを引きずり、登りやすいところを選んで、あっちへ行ったり、こっちへ行ったり。
青い空。吹き抜ける風。そびえ立つ上部岩壁。
難しいところはないけれど、いつまでも登っていたい気分。
でも上部岩壁はぐんぐん近づいてくる。
壁を見て登りたいところを登るつもりでいたのだが、近づくにつれて最初のハングしか見えなくなってしまった。。
半ば消去法で、ラインがはっきりしていそうな右端の「クラックルート」に決定。
長野さんリードでスタート。
お腹の調子がいまいちとのことだったが、安定のクライミング。
岩は浮いているものが多いが、引き付けないと登れないほどの傾斜ではないので問題なし(?)
で、楽しく登っていたら…
あれ? リッジに出てしまった!?
クラックルートはこれで終了。トポとのスケールの違いに戸惑う。
そうだ、あれを登ろう!
長野さんがトップを譲ってくれたので、一番面白そうに見えた「ダイレクトルート」上部へリンク。
「丸いスラブ」は読み通りのムーブとプロテクションで登れ、岩も硬くて★★★
岩登りやっててよかったなーと独りニコニコしてしまう。
最後は黒雲と競争になったが、無事正面壁完登!
山頂からしっかりした踏み跡が現れて喜んだのも束の間、西岳とのコル手前で夕立に追いつかれ、再びヤブのなか土砂降りの雨に降られること一時間。
ああ、本チャンやってるなー、という、ささやかな幸せを胸にベースへ帰還したのでした。
>三日目
「針峰」のプレッシャーが効いたのか、夜半から長野さんのお腹が大崩壊を起こし、登攀どころではなくなる。
それでも山にいれば、ぶらりと出かけずにはいられない山屋の哀しさ。
来週登る予定の槍ヶ岳西稜取り付きを偵察して休養日終了。
あとは帰るだけだと思えば気分も軽い。
壁が明るく見えるのは晴れ間のせいだけではないかもしれない。
今度は是非この壁を登って、昨日登った正面壁を真正面から見てやろう。
ほどほどに未知の楽しみがあり、フリーで登れて、頂上に抜ける合理的なライン。
もちろん貸し切り(じゃないと落石が危ないので念のため)。
多くはない私の登ったルートのなかで、間違いなく五本の指に入る楽しい登攀だった。
長野さん、お付き合いいただきありがとうございました!!
それと、横尾山荘のご主人にはたいへんお世話になりました。もう忘れ物しないように気を付けます・・・
7/22 曇り
上高地BT 1920 - 横尾 2150
7/23 晴れ→雨→晴れ
横尾530 - ババ平 - 赤沢出合830 -上部岩壁取付1030 - 1445正面壁の頭1500 - 1520赤沢山 - 1745ババ平
7/24 晴れ のち曇り
ババ平620 - 槍ヶ岳西稜取付偵察 - 1430ババ平 1540 - 1700横尾
7/25 曇り
横尾540 - 800上高地
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