2023/5/3-5/5 不帰1峰

山行報告

期日:2023-05-03(水)-05(金)
山域:不帰ノ嶮
ルート:不帰1峰
参加者:吉武CL(投稿)、石川SL、宮崎、岡田ス
天候:3日間晴天
行程
【5/3】八方山荘15:30-BC(下ノ樺)17:45 
【5/4】BC3:30-取り付き5:30-断壁の上11:00-1・2のコル18:30-唐松岳22:50-BC0:50
【5/5】BC9:00-八方山荘9:45 下山→倉下の湯→パタゴニア白馬店→絵夢

 

#黒横から転進
#ルート名大発表
#21時間越え
#Alpine-Best-Condition(ABC)続かない?

  

黒部横断を天候不安のため中止にし、さらに腰と鎖骨を痛めて来れなくなったメンバーが2人、悲しみからリーダーは情緒不安定だったが転進候補の「不帰1峰」にモチベを見出した。

奥に1峰がみえる

 

夕方でも暖かくご飯を外で優雅に

 

下ノ樺の町が見下ろせる場所にベースを造った

アタックでも日が暮れてBCに戻ってくる記録をいくつか読んでいたため、16時までに1峰頂上に出れなければ1-2峰間ルンゼを下降し、BCに戻ろうと決めていた。

5月4日、午前3時30分にBCを出発し、下ノ樺から適当にトラバース、八方尾根支尾根に沿いながら下降し、また適当に沢に入って1峰末端を目指してついていたトレースをたどる。振り返る尾根は登り返したくないので、なんとか夕方までには頂上に抜けたい。

 

 日没に間に合うか不安に包まれていたところ、SLの体調が思わしくなさそう。彼女はここでBCに引き返すことにした。
 

朝のカチカチ雪のクライムダウン/トラバースは足首にくる エスケープになるとここを登り返すことになる

 SLと2人で数ヶ月前から始めた計画だったので、一緒に登れないのは堪える。CLにとっては今回最も感傷的な場面だった。

中腹のコル付近に他1パーティーの明かりが見える。

 

モルゲンロートに包まれる不帰1峰

https://chigasaki-alpine.club/wp-content/uploads/2023/05/705276691.336322.mp4

トポでは不帰沢に回り込んで取り付くが、それが少し億劫で、唐松沢側から尾根の中央付近、行けそうなラインから取り付くことにした。時間の節約になったのか、本来のルートより時間がかかってしまったか、今回の雪の状況ではどちらが吉だったのか分からない。

 

 

取り付きからロープを出した。

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🔳累計ピッチ数🔳内容、支点の種類
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🔳1P🔳薮の割れ目から草付きを直上するも、天井の薮がすごくてクライムダウン→雪稜と草付き泥草パインへ、立木
🔳2P🔳藪中にあるちょっとした岩から激藪へ、立木

岩が見えるが断壁ではない

 

🔳3P🔳上の写真から雪を左上、カム#2とスノーバー
🔳4P🔳広い雪の斜面と岩草付きの間を登る、岩上にある立木

その後適当に雪、草付き交じりをフリーで進んだ。

半そでになりたいくらい暑かった、だが長袖の下はミレーのアミアミ


🔳5P🔳雪稜からのこんもりしたところに、 SAB
🔳6P🔳ナイフリッジ、スノーバー

雪庇の向こうに岩壁が見えるが、これもどうやら断壁ではなさそう。この雪と壁の間は大きく切れ落ちている。


🔳7P🔳トラバースしてブッシュ沿い、立木

雪目に注意


🔳8P🔳直上ブッシュ沿いちょっとした岩や雪氷、立木

 

日が傾いても暑く、ほぼ無風。ひとり1.5L用意した水は、雪をときどき加えなければ足りていなかったかもしれない。イケナイ太陽やな。

おかけでビレイに凍えることもなく、時間は過ぎるが穏やかな登攀ができる。

 

 

 

 

 

雪はぐずぐずだし、新人もいるためロープはなるべく出した。基本的には、リード→セカンドがユマール→サードは末端で登攀する方式だ。

 

 

 



🔳9P🔳雪稜から岩の露出しているところ、立木
🔳10P🔳崩れそうな雪稜からブッシュ沿いに雪壁を上がる、立木


🔳11P🔳傾斜の緩い雪壁、SAB

 


その後、コンテ&ソロ。

傾斜のない雪壁、雪稜、ぐずぐずのナイフリッジ、締まりにくい雪壁、騙し騙されてながら進む。

 

 

断壁上から合流したトレースをおおむね辿っていたが、そのトレースは1峰最後の壁にきて直上ではなく、コル方向左下にトラバースを始めていた。まだ明るいが17時は過ぎている。

 

壁に取り付くために左水平トラバースするも1峰の雪が切れ落ちていたため1峰頂上をあきらめ、コルを目指してトレースを追うことにした。雪(シュルンドが潜む)をトラバースして、藪に掴まりそのまま水平に、さらに綱渡りのように藪上を渡ると1-2峰のコルに出た。時刻は18時45分。ここから夏道でてるし、BCまで暗くてもいけるだろう。

一旦、アイゼンを外した。

まだぎり元気。尾根上でも電波が入るのでBC(まゆ)と下界(せぬつよ先生)と繋がれる。

 

1-2のコルから上がってすぐ、夏道は雪で埋まりため息というか、舌打ちしながらアイゼンを再び付ける。ぐずぐずのトラバース。他の記録ではこの唐松までの帰路が核心だったと記しているものもある。新人の足元は抜け落ちるも、なんとか引っかかっていたので、疲れて注意散漫になりそうだし積極的にロープを出す。

もう日は暮れているからいつBCに着いても一緒、体力が持つ限りならゆっくりでも動いて、彼女の待つBCに今夜中に帰りたかった。

川向こうの剱に時折目が奪われる

 

 

 

ところがどっこい1-2のコルから唐松までがほんっとにまぁ大変。日中の気温で表層下の支持力がないところが多々あり、暗闇でホシガラス(?)がガーガー鳴いており不気味で、2峰だけでしめて4P出した。

 

文字もなんだか怖い

 

https://chigasaki-alpine.club/wp-content/uploads/2023/05/705276691.223448.mp4

 

トレースがない場合は1峰から唐松岳まで3時間かかるところを、トレースありで4時間20分かけた。終始月明かりが美しく、唐松岳山頂に着いた時には23時を迎えようとしていた。唐松岳頂上山荘の電灯が目に入り、人の気配にもう大丈夫だと肩をなでる。

 

 

 

ほんとにみんなで頑張ったよね、手だけ見ると美女だよスマイルくん

夏道もでているので、アイゼンの着脱に迷うが、いちいち外すのも億劫なほどに疲労し、ガリガリと嫌な音をたてながらよもや惰性で足を前に出す。

SLと別れ際に交わした言葉が記憶遠い。

BCの明かりが見えた

 

 

ただいま

 

SLが用意してくれてたキンキンのコーラと、深夜に食べるフリーズドライ、これ勝るものはない。
1峰支尾根でも1峰尾根でもなかった今回のルートは「Il a oublié ses chaussures」と名付ける。和訳は「靴忘れ」。

 

黒部横断とは本来、CLの腹の黒い部分を断ち切るという意味でしたが、登攀中は余裕なくムッスリしてしまいました。参加してくれたメンバーにはトレーニングから転進先でも支えられ、ほんと類は友を呼ばずいい仲間に囲まれ、茅ヶ崎山岳会の有難みを再認識しました。

 

 

 

 

まゆちゃん、心では一緒に登ったよ!
スマイリー、素敵な写真と動画さんきゅう!2度と靴忘れんな

  

みかさん、登攀中の安心感がすごいです。見習います!
まさよさん、知恵をいっぱいお借りしました。またテントのリラックスまさよん見たいな♡
せぬつよ先生、「こういう時は気をつけてね」のおかげで最後まで安全徹底できました!

 

 

 

 

 

 

 

 

ぼくらのGWがおわった

Music by
ORANGE RANGE
「イケナイ太陽」

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