2023/4/22-23 前穂北尾根

山行報告
  • 日程:2023/4/22-23
  • 参加者:Y, M, S
  • 天気:晴れ、気温:-10〜0℃、風強め
  • (1日目)5:50 上高地BT〜9:00 横尾〜13:00涸沢〜15:50 5-6のコル
  • (2日目)5:20 5峰〜6:25 4峰〜9:15 3峰〜13:20 2峰〜14:05 1峰〜14:20 前穂高岳山頂14:30〜岳沢小屋〜17:40 上高地BT

2年前の夏、表銀座縦走中に見た前穂高岳の岩峰に魅了されました。ギザギザのかっこいいそれが「前穂北尾根」とも知らないアルパイン無知の頃、なぜか「あそこを登りたい」と思ったのが、アルパインに足を踏み込んでしまい、山岳会に入ったきっかけです(学生時代に部活もしてなかった私がまさか山岳会に入るなんて…今だに自分でも予想外すぎる)。

憧れの前穂北尾根… 残雪期に初挑戦するとは思いもしていなかったけれど、頼りになる女子2人と共にワクワクいっぱいで行って参りました!!

GWに向けて準備を進めてるショップや宿関係者がわずかにいる程度で、登山者は少なめの静かな上高地を出発。徳澤園ではお猿達がのんびりと毛繕いしたり、山菜むしゃむしゃ食べてたり、かわいい。

横尾までは迂回路で長かったものの順調なペース。横尾橋を渡って、やっと雪が出てきたが、本谷橋に到着するまでに半袖Tシャツになるほど暑い。日焼け対策に手ぬぐいで頭巾をはじめたら、みんな個性的なスタイルで笑える。

本谷橋からは夏道より少し上の道を進み、涸沢カールへ。カールが見えてからが長い。歩いても、歩いても小屋は見えず、やっと鯉のぼりが見えたと喜んだのに永遠近づかず、雄大すぎる景色の中では人間なんてちっぽけな生き物だと感じる瞬間。

涸沢カール見えてきたっ!
小屋見えてからも長い
目の前は前穂北尾根

寝不足と暑さで体力的にはキツイけれど、翌日の行程を考えると夜の強風予報はあるものの、雪質も今の方が歩きやすいし、5-6のコルまで登ってしまおう!と相談して決める。

涸沢からはノートレース、程よく緩んだ雪だ歩きやすい
奥穂をバックに登る。
寝不足のせいか吐き気と軽いフラつきが出て辛かった…
正面は5-6のコル、空が青すぎる
槍ヶ岳も見えてきたーッ!ちょっと元気になれる。

15:50 急傾斜の雪面を登りつめテント設営の準備。 2,500m超えた辺りから軽い吐き気とフラつきの出始めた私はしばし動けなかったが、風が強まってきたので雪壁を作り、日没前に無事設営完了。ピッケルを完全に埋め込んで設営する方法を学びました。夜の強風にも負けず、あんなにしっかり留まってくれるとは、ビックリ。

日没後、新月が奥穂の上で輝いててきれいだった。

2日目は2:30起床、5:00出発予定だったけれど、前日涸沢で私達の行動をやたらと気にしてあれこれ聞いてきた他パーティが4:30過ぎに続々登ってきたので、少し待って5:20出発。この日も間違いなく絶景が見れる良い天気。

今日もいい天気、元気にクライムオンッ!

5峰はフリーで登り、4峰途中からロープ出し。トポでは涸沢側を巻いて行く、と書いていたが、先行パーティも含め左から巻いていってた。遠目で見るのと近寄って見るのだと印象違くてルーファイって難しいんだな…と思う。

朝陽を浴びながら登る
5峰途中
振り向くと蝶ヶ岳や常念岳 (たぶん)
横を見ると奥穂から槍ヶ岳、めっちゃキレイ
圧倒的存在感の4峰と3峰先端がちょっと見えた。
今となってはどこをルート取りしたのか、さっぱりわからない…
3-4峰の大きさ伝わるかな?
左手前にYさんが立ってます
4峰、Mさんリード
4峰も振り返るとなかなか怖い感じ

3峰は圧倒的な威圧感… 緊張しかない。リードで進むMさんもとっても慎重に進んでいるのがビレイを通して分かる。 セカンドと言えど、足元は切れ落ちた岩壁で、雪なし岩壁でのアイゼン歩行不慣れな私はトラバースゾーンでメンタル衰弱しました。写真を撮る余裕もなく、3峰の記憶は曖昧です。 ただ、メンタル衰弱後、セカンドビレイであたふたと冷静さを完全に失っていた情けない自分の姿だけは鮮明に残ってる(反省ポイント)。

3峰、先行2パーティが取付き中

大緊張の後は比較的登りやすかったが、3峰チムニーはYさんアドバイス無しには登れなかった。雪は詰まってるのにサラサラでアックスもアイゼンもきまらず、どんどん足場がなくなっていく。両サイドのわずかな凹みにアックス&アイゼンを引っ掛け、太ももで押さえつけながらよじ登る。ここをリードで登ったまなちゃん、カッコイイと思った。

3峰チムニー直下、チムニー右にはルンゼルート
足元の雪は崩れていき、ここからがめっちゃ難しかった
チムニー内から見えた景色が海外っぽい

2峰はロープ無しでも進めるかと思い歩き始めたが、よじ登る場所で不安になり、結局ロープ繋いでサイマルで進む。2峰懸垂直前のリッジもなかなか恐怖な足元。メンタル&体力共に疲れきった私はラスト1峰もロープ出してもらって良かったと思う。「ちょっとでも不安を感じたらロープは出してもらうこと、強がるのは絶対ダメ」と頼もしい2人から教えてもらう。そんな2人とは真逆で、憧れの北尾根を終えて山頂に着く私の姿は情けないぐらいにボロボロだったと思う(14:20登頂)。

前穂北尾根登頂ですッ!
山頂からは360度の絶景でした

山頂から上高地までも時間と体力の戦い。18時最終タクシーに間に合わせるため、奥又白谷を下るが、シャビーな雪質のために、後ろ向きでずーーーと下り続けるのが疲れ(尻セイドするには傾斜強すぎて危険)、岳沢からは夏道ルートを歩き、岳沢湿原経由で上高地へ。

奥又白谷の下り

タクシー確保で先に下山してたYさんに大幅遅れしたものの、なんとか17:40にゴール‼︎ メンタル&体力ボロボロになった未熟者でしたが、2人のおかげでとても充実したアルパインを経験できました。ありがとうございます。

GW山行に向けて少し自信がついたところだったのですが…、ボディメンテナンスを怠りすぎてたせいか、下山3日後に人生初のギックリ腰になってしまいました。これからはボディメンテにもお金と時間を費やさねばいけない年齢だよね…と、ひとり反省したのでした。

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